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日本成長戦略会議を開催し、戦略17分野における、具体的に投資を促進すべき「主要な製品・技術等」の先行するものについて、『官民投資ロードマップ』を提示しました。日本成長戦略によって実現を目指す「強い経済」がどのような姿となるか定量的に示し、今後の経済財政運営にも反映していきます。 pic.twitter.com/07KFYX1W65
— 首相官邸 (@kantei) 2026年3月10日
戦略、投資、経済だのと、読む気がしない文章ですが…
超簡単にいうと
「国が、これから伸ばしたい産業を決めて、そこにお金を流す準備を始めた」
という話です。
これがその17分野(太字)⇓

17ある注目分野のひとつがフードテック、つまり「食」に関する技術です。
その中に、「陸上養殖」も含まれている、ということです。
詳しく知りたい方は、内閣官房のサイトから確認できます。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/kaigi/dai3/gijishidai.html
陸上養殖については、PDF 117ページ。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/kaigi/dai3/shiryou2.pdf
何が書いてあるのか簡単に解説すると
今は、閉鎖循環式陸上養殖(RAS 以下陸上養殖と呼びます)は世界中で開発が進んでいますが、まだ安定して儲かる産業にはなっていません。
日本の強みとして、
・水処理・浄化技術が強い
・種苗・品種改良の技術がある
・ITやデータ活用もできる
要は「ポテンシャルはあるけど、まだ完成してない産業だから、技術や人材育成にガンガン投資して陸上養殖をうまくやれば、日本がこの分野でトップを狙えるかもしれない」
ということです。
なぜやるのか
理由は、世界的に魚の需要は増えているからです。
でも、内水面(河川水や地下水を使って養殖している人たち)や、海の養殖は、環境、場所、気候などの面で限界(リスクも)あります。
また、日本は輸入依存も高い国だから、陸上で安定して魚を作れるようにしたいわけです。
国の狙いとしては
国内で安定生産できる体制を作ること。
海外にもビジネス展開すること。
日本の技術で世界を取りに行くこと。
つまり「食料安全+ビジネス(輸出)両方狙ってる」
ということです。
どうやって進めるか(投資の内容)
具体的に国がお金を入れる場所として、
・養殖の生産技術
・陸上養殖にかかる莫大な経費(電気代、酸素供給機器など)の削減
・種苗(稚魚)、飼料の開発
・生産拠点の整備
・養殖に関するデータ収集や分析・IT化
・人材育成
・加工、流通の仕組み化
などが挙げられています。
ほぼ全部ですね。
何が問題なのか(課題)
人材不足
コスト高(電気・設備)
魚が安定して育たないリスク
市場が読めない(売れるかわからない)
初期投資がデカすぎる
といった課題があります。
国の政策としては
「研究開発支援として、魚の飼料や魚の研究開発をするなら、補助金をだしたり、税制優遇しますよ」
「海外展開支援として、海外に販路を広げるなら低利子でお金貸します、設備投資についても税制優遇するし、広告も手伝いますよ」
という内容が書いてあります。
つまり、国は陸上養殖をこれから伸ばす産業として、本気で育てにきています。
技術開発、人材育成、設備投資、さらには海外展開まで含めて、産業そのものを一から作ろうとしている、かなり大きな動きです。
背景には、
魚の需要増加や内水面養殖、海面養殖の限界、輸入依存といった課題があり、「陸上で安定して魚を作る」という方向に舵を切った形です。
ここまで読むと夢のある話に見えますが
実際はそう簡単な話ではありません。
陸上養殖はまだ発展途上で、
コスト・人材・技術・安定生産など、課題も多いのが現実です。
「やれば儲かる」という段階には、まだ達していません。
個人的に思うこと
正直いうと、個人的には陸上養殖については、否定的に見ています。
初期投資と維持費があまりにも大きく、どう考えても採算が合わないからです。
サーモン養殖で有名な、ノルウェー、スウェーデン・デンマークといった国も、国が陸上養殖に本腰を入れていますが、まだ安定して儲かる産業とは言い難いのが実情です。
成功例もありますが、多くの施設は赤字か、ギリギリの採算というのが現実です。
一部の成功例というのも、水温や酸素供給の微調整、餌のコントロールなど、
長年の経験を持つ技術者の「勘と技術」によって、
なんとかギリギリ成立しているケースがほとんどです。
つまり、数値化できない部分でなんとか成り立っている、
ということです。
陸上養殖については以前にも記事を書いてます。
陸上養殖のこういった現状を知ると、現実の経営はまだ難しい段階にあると感じています。
だからこそ、今回のように日本国が本腰を入れてくることで、この状況がどう変わるのか。
これからじっくり見ていきたいと思います。