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一代雑種強勢(F1)とは何か

一代雑種強勢(いちだいざっしゅきょうせい

なぜジャガートラウトやタイガートラウトが作られるのか

管理釣り場や養殖の話をしていると、F1(エフワン)とか、掛け合わせ、ハイブリット、といった言葉を聞いたことがある人もいるかと思います。

なんとなく「強い魚」「ハイブリッドで最強」「レアな魚」そんなイメージが先行しがちですが、実際どんな魚で、どんなメリットがあるのかについて書いてみます。

そもそも一代雑種強勢(F1)って何?
一代雑種強勢とは、遺伝的に少し離れた系統同士を掛け合わせた最初の世代(F1)だけに、良い性質が出やすい現象のことです。

よく出る特徴は、成長が早い、病気に強い、環境適応能力が高い、といったことです。

ここで大事なのは、強勢が出るのは「一代目だけ」ということです。
その先の世代(F2)まで同じ性能が続くわけではありません。

F1が「強く見える」理由
F1雑種は、実は
・受精しない
・孵化しない
・初期で死ぬ
という個体もかなり出ます。
その中でうまく遺伝子が噛み合った個体だけが残る。
結果として、「F1は強い」という印象だけが残ります。

 

F1の具体例
ジャガートラウト
イワナ系 × ブルックトラウト系}
F1としてよく知られるのが、ジャガートラウト。
特徴としては、模様が綺麗、引きが強いなど、管理釣り場では目玉魚として扱われることが多いため、釣り人の印象に残りやすい魚です。

②タイガートラウトブラウントラウト × ブルックトラウト}
こちらは海外で有名なF1です。
名前の通り、虎模様のような体側が特徴。非常にファイトが強く、釣りのターゲットとして人気です。
繁殖しにくいため、増えない釣り魚として、北米では管理目的で使われることもあります。

ここまで読んで、「じゃあ、F1があるなら、F2やF3もあるんじゃないの?」
そう思った人もいるかもしれません。
結論から言うと、F2、F3という呼び方自体は存在します。
ただ、F1と同じ意味合いで考えると、誤解してしまいます。

F2、F3とは何か
F1は「親(P)×親(P)」から生まれた 第一世代。
ではF2は何かというと、
F1×F1、もしくは F1×親系統、から生まれた次の世代を指します。
F3は、さらにその次です。
言葉だけ聞くと、「世代が進んだだけ」に見えますが、中身はまったく別物になります。

F1とF2の決定的な違い
F1の強さは、遺伝子が悪い部分をお互いに打ち消している、ちょうどよく噛み合った状態。
ところがF2になると、そのバランスが崩れます。遺伝子の組み合わせがバラけ、性質が個体ごとに極端に分かれます。
「F2のほうがもっと強くなる」なんてことは、ほぼ起きません。
世代を重ねれば、さらに強い個体が出るんじゃない?と思うかもしれませんが、現実は逆です。
・成長が遅い
・弱い個体が増える
・奇形が出やすくなる
こうしたリスクのほうが大きくなります。
もちろん、たまたま良さそうな個体が1匹くらい出ることはあります。でもそれは、養殖や釣り場運営では、ほとんど使い物になりません。

なぜ、こういうF1魚を作るのか(メリット)
① 釣りの「面白さ」を作りやすい

・引きが強い
・見た目にインパクトがある
・話題になりやすい
といったこともあり、管理釣り場では集客の材料となりやすいからです。
② 養殖・管理がしやすい
・成長が早い
・病気に強い
・ある程度環境に強い
生産側から見ると効率が良いです。
③ 繁殖しにくい
組み合わせによっては、自然繁殖しにくい、つまり勝手に増えないという特徴があります。「増えない魚」を使うことで、管理をコントロールしやすくなる、という考え方もあります。

逆にデメリットはあるのか?
事故などで自然の河川へ流出する可能性です。
どれだけ管理していても、
・大雨
・設備トラブル
・人為ミス
流出リスクはゼロにはなりません。流出した場合、生態系への影響は読み切れないところがあります。
捕食、在来魚の居場所を奪う、といった可能性も否めません。
また、交雑・遺伝の問題もあり、例えば近い種類同士だと思わぬ交雑が起き、在来系統が薄まるという心配があります。可能性は低いですが、ゼロとは言い切れません。

それから、デメリットではありませんが、命の扱いとしてどうなのか?という倫理的な問題もあります。
これは価値観の話ですが、人間の都合で組み合わせる、釣りや商売のために作るということに違和感を覚える人もいます。

 

ここまで、一代雑種強勢についての説明と、そのメリット、デメリットを簡単に解説してみました。
こういった魚が、引きが強くて、見た目も個性的で、釣りの対象として面白い魚であることは間違いありません。
一方で、人間の都合によって、本来なら生まれることのなかった命である、という側面もあります。
こうした背景や仕組みを知ることで、魚を見る目が変わったり、釣りという行為そのものを、少し違った角度から楽しめるようになると思います。