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【閲覧注意】カワウに弾が効かない? 現場で見えた驚異の「耐弾性」

この記事は、刺激の強い画像が表示されます。
苦手な方は、ここでページを閉じてください。

 

川や管理釣り場養殖場などで大きな被害をもたらす鳥、カワウ(川鵜)。⇧実際に駆除した個体。
一日最低500g以上の魚を食い荒らす。
群れで行動し、水辺の木の枝上に巣をつくり糞をまき散らす。
業界関係者からは黒い悪魔なんてよばれたりします。
今回はそんなカワウ駆除の実体験から、「強い身体構造」と「散弾の効きづらさ」について書いてみます。

 

【警告】この先は閲覧注意です。

 

 

散弾の弾は7.5号(射撃でよく使われる弾)では止まる、3号でも効かない!?

実際の写真⇓

↑ 頭の皮膚と筋肉の間に7.5号(直径2.4mm)散弾が複数埋まっているのがわかります。
外傷は目立たず、皮膚で止まり、皮膚や筋肉に突き刺さるだけで貫通しない、つまり、当たっても効いていないことが多い。
7.5号弾は至近距離なら有効。
個人的な感覚ですが、15m以内で、かつ撃った時の散弾の芯玉(特に粒が集中している真ん中部分)が首から上に当たった場合は有効。

 

 

↑ こちらは完全にお腹を開いてみた様子、カワウの内臓。肝臓、心臓、気嚢に傷なし。
つまり、弾は内部まで届いていない。

散弾銃の弾の号数について、わからない方も多いと思いますので簡単に説明すると、「号数が小さいほど、弾の粒が大きく、遠くまで威力が届く」ということです。
たとえば、9号~7.5号は、弾の粒がとても小さく、クレー射撃やスズメ、鳩など、小鳥を撃つための弾ということです。
1号から4号など、号数が小さい弾は、粒が大きく、遠距離でカモを撃つ場合や、サル、キツネ、タヌキといった、中型の動物を撃つための弾ということです。
号数によって、撃てる動物が決まっているわけではありません。
どんな弾でもいいのですが、たとえば中型の動物を7.5号のクレー射撃用の弾で撃っても効きません。
動物を痛めつけるだけになってしまう、という感じです。

 

↑ 7.5号ではこの程度の威力。致命部位にはまったく届かない。
皮膚一枚貫通するだけ…

 

カワウは、なぜこんなに弾に強いのか?
結論から言えば、水中捕食に適応しすぎた結果だと考えます。
皮膚は厚く、伸縮性があり、筋肉層が異常に分厚い →結果的に 散弾の威力を吸収して止めてしまう。
胸筋は、潜水と飛行のために異常に発達し、胸骨は板状になっている。
まるで強化プラスチックの板が胸元に入っているかのようです。
天然の防弾チョッキ状態⇓

分厚い胸筋⇧

 

胸骨が板状になっているというのは多くの鳥に共通していますが、カワウは特に頑丈で骨が分厚いです。

異常に固くかつ弾力もある板状の胸骨(白い部分)⇧
背中側の背骨は厚みもあり、さらに硬い。

こういった構造が、結果的に弾に対する強さを生み出しているわけです。

 

 効く弾と距離:実体験からの感じでは、

7.5号・6号 → 皮膚で止まる(使い物にならない)

3号 → 近距離で当たれば効くが、飛翔中の即倒は難しい。半矢(撃った直後は飛ばれてしまうが後から死ぬ)の可能性が高い。

2号以上(できれば1号やBB弾) → ようやく止まるレベル。

有効射程距離:2号の弾で30m以内が理想。それ以上の距離だと貫通力が足りないため、1号やBBクラスの遠距離用ハイパワー弾なら効果はとても高い。
1号やBBは、弾が大きい分、弾数も少なく正確に狙わないとすり抜けてしまう可能性も高くなるため、フルチョークを使うのがベスト。

 

 駆除の現実と対策
だれでも、撃てば倒れる、当たれば死ぬというわけではない。
だからこそ、弾選び・狙う部位・距離感の工夫が不可欠。
狙うのは頭〜首か、飛び立つ瞬間の腹部

日暮れ時のねぐら(コロニー)撃ちは狙いやすいが、コロニーを撃つと、カワウが散らばってしまい有害駆除としては逆効果となるという報告もあるため注意が必要。

管理釣り場での駆除方法としては、最初に潜らせ、魚をくわえて頭を出したところを撃つ。
カワウは水面を泳ぐ場合、体の半分以上を水中に沈めて泳ぐため、ほぼ頭部だけを狙うことになる。
首、頭部は面積も小さいため弾がすり抜けたり、かするだけで致命傷にならない場合もある。そのため2発目3発目で仕留めることも多い。
撃たれて致命傷にならなければ、当然すぐ飛び立つ、その場合は羽を広げた瞬間や、飛び立つために水面を走っている最中に仕留める。
こういったことを考えると、実際の猟場、駆除現場では散弾銃は自動銃が最も適しているといえる。
実際3発目で仕留めることはとても多い。

カワウが群れで池に入った場合

自動銃でも3発までしか弾を込めることができないため、一人では最大で一度に3羽しか捕獲できないが、弾の装填が早ければ、次のカワウが水面に出てくるまでの間や飛び立つまでの間に撃つことは可能。
群れで飛び立つ場合は他のカワウに目移りしていまい、狙っているつもりでもまったく弾が当たらず、結果一羽も駆除できないこともよくある。
群れの場合は一羽を標的にしたらその一羽に確実に当てる意識をすることが大事。
「ほかのカワウには逃げられてもいいから、狙った一羽を確実に撃つ」という意識でやることが大事。

 

油断できない
数羽の群れで池に入ってきたとき、一羽だけ射殺し、ほかのカワウが逃げてしまった場合、すぐ回収に行かず様子をみる。一度逃げても、すぐにまた戻ってくることがある。
池の真ん中で仲間が撃たれて死んでいても、数分後、十数分後、逃げたカワウが戻ってきて、また池に入ることはよくある。
また、数十分から数時間の間でほかの群れが池に入ることもある。
つまり、死んだカワウが池に浮かんでいたとしても、関係なく入ってくる。

 

現場でわかる自然の「合理性」
カワウの体は、魚を狩るために進化した水中仕様のハンター装備。
それが結果的に「散弾銃に強い体」の構造を生み出している。
自然界の合理性、そして駆除現場の難しさを、ぜひ多くの関係者に知ってもらえればと思います。

 

可哀想だと思う人へ  それでも、駆除する理由
「かわいそう」「ひどい」と感じた方もいると思います。
その気持ちは正しいし大切な感性だと思います。
ですがこれが現実です。

カワウが1羽来れば、1日に最低500g、時に1kg以上の魚を食べていきます。
群れで来れば、1週間で何千尾という被害もあります。
それだけではなく、鳥の産卵期になればヒナにエサを運ぶため、釣り場や養魚場と、ねぐらを一日何往復もします。
鳥のくちばしによってケガをする魚も多く、ただ「食べられる」以上のダメージが残るのです。

それは、農家さんが植えた田んぼの稲を、鹿やイノシシにめちゃくちゃに荒らされるような感覚、収穫目前の野菜や果物をハクビシンやアライグマに食い荒らされることと似ています。
そこにあるのは、人の時間、資金、労力が水の泡となる現実です。
誰しも生活が懸かっています。
第一次産業というのは、絶対になくてはならない、根底にある仕事です。
地域の文化的、経済的基盤となるものです。

ですが鳥獣による被害が出たからといって、国や行政は助けてくれません。

私たちも、撃ちたくて撃っているわけではありません。
できる限り追い払いたい。被害を最小限にしたい。
でも、カワウは非常に賢くて、音や光にすぐ慣れてしまい、人がすぐそばにいても池に入って魚を食べてしまいます。
最終的に「命を奪う」という手段しか残らない現実があります。

だからこそその命を無駄にしたくないと思っています。
こうしてわざわざ解体して、写真を取って、長ったらしい文章を書いていることも、後々誰かの役に立てばという願いからです。
こういう現実もあるんだと、知っていただければと思います。