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マス養殖業界のザックリしたビジョン

 

サケマス養殖は、海外でも国内でも需要が年々増加しており、成長産業として全国的に注目されている業種です。

特に近年は持続可能性や安定供給への意識の高まりから、新たな技術導入や様々な生産方法が見られます。


養殖生産プロセスの多様化
サケマス養殖の生産モデルは、主に以下の形態が見られます。


・ 海面養殖:従来の生産方法で、種苗(稚魚)を内水面養殖業者から購入し、海の生簀で養殖する。特に宮城県では銀鮭の養殖が盛んです。漁業権が必要となりますが、比較的低コストでの大量生産が可能です。自然環境や病害などのリスクはありますが、病気に関していえば、稚魚は内水面業者ほぼすべての病気をクリアしている魚を出荷しているため、リスクは自然災害や環境変化(海水温の問題)などである。

 

・ 陸上養殖:閉鎖循環式陸上養殖システムの導入が進んでおり、これにより場所を選ばずに、水温や水質を管理した安定的な生産が可能になっています。自然災害や魚病リスクを減らせるという利点がある一方、初期投資やランニングコストが大きいことが課題です。


・ 種苗生産:養殖用の稚魚(種苗)を生産し、養殖業者に供給するビジネスです。安定した品質の種苗供給は養殖全体の成功を左右するため、重要な役割を担います。北海道など、冷涼な気候が種苗生産に適している地域もあります。


・生産から販売、加工までの一貫体制:生産者が自ら加工や流通、販売まで手掛けることで、付加価値を高め、差別化を図るビジネスモデルです。市場出荷や直販、ECサイトでの販売、飲食店への直接供給など、多くの販路が必要です。

 


市場と流通
サケマスの国内消費量は多く、特に生食用としての需要が高いため、品質や鮮度が重視されます。

流通経路は、従来の卸売市場経由に加え、 スーパーマーケットや外食産業への直接販売、オンライン販売など多様化しています。

一方で、安価な輸入サーモンとの競合が激しく、国産サケマスのブランド力向上と差別化が課題となっています。

加工輸出国への輸出も行われていますが、今後は消費国への直接的な販路開拓も重要になる可能性があります。


技術革新と課題
養殖技術は日々進化しており、特に以下の点が注目されています。


・陸上養殖技術:閉鎖循環式陸上養殖システムによる水質管理技術の向上や、AIを活用した水温管理や給餌管理などにより、生産効率の向上と環境負荷の低減が進められています。


・品種改良:高水温に耐性を持つ品種や、成長の早い品種などの開発が進められており、これにより養殖適地の拡大や生産期間の短縮が期待されています。


・飼料開発:魚粉に依存しない代替タンパク質(虫など)を利用した飼料や、魚の成長をより促進する飼料の開発が進められています。飼料コストは養殖経費の大部分を占めるため、効率的で安価な飼料の研究開発が重要となっています。

 


課題としては、飼料コストに加え、以下の点が挙げられます。
・生産場所の確保:海面養殖においては、適切な漁場の確保が必要です。近年の海水温上昇も考慮していかなければなりません。
・人材育成:養殖技術や経営管理能力を持つ人材の育成が求められています。後継者不足による廃業が目立つ現状をどのように乗り越えていくかが重要です。
・環境問題への対応:持続可能な養殖を実現するため、排水処理や薬剤使用の管理など、環境負荷を最小限に抑える対策が必要です。

 

補助金助成金
 国や地方自治体は、養殖業の成長産業化を推進するため、様々な補助金や支援策を講じています。

事業に必要な設備導入への補助、研究開発への助成などがあり、これらを活用することで、事業への新規参入や拡大に向けた負担を軽減することが可能となっています。

近年、大企業がサケマス養殖業界に次々と参入してきていますが、ほとんどが補助金助成金を活用していると思われます。


まとめ
日本のサケマス養殖ビジネスは、技術革新と多様な生産プロセスの展開により、今後の成長が期待される分野です。

特に閉鎖循環式陸上養殖は、安定供給や環境配慮といった観点から注目度が高まっています。

しかし、コストがかかりすぎる問題、現実的な環境問題への対応、人材確保など、克服すべき課題も多くあります。

今後さらなる研究開発や技術革新により、どのように課題を解決していくのか、動向に注目していきたいと考えています。